運営:Aeras行政書士法人
〒102-0073 東京都千代田区九段北1丁目3-10 九段北松村ビル 2F(九段下駅5番出口から徒歩30秒)
受付時間
2026年10月1日、永住許可に関するガイドラインが大きく改定されました。 年収だけでなく、将来の年金、日本語能力、制度・ルールの理解、子どもの就学など、審査で確認される項目が具体化されています。
ただし、すべてが同じ日から適用されるわけではありません。収入に関する新しい考え方は一部の申請に先行適用され、ガイドライン全体は2027年4月1日以降の申請から適用されます。この記事では、申請時期ごとの違いと準備すべき資料を整理します。
今回の改定は「年収額だけが上がった」という変更ではありません。 永住後も日本で安定して生活できるかを、現在の収入、将来の年金、家族構成、日本語能力、在留状況などから総合的に確認する仕組みが明確になりました。
ガイドラインは、永住許可の審査で考慮する基本的な考え方を示すものです。入管法第22条第2項の法律上の要件は、素行善良要件、独立生計要件、国益要件の3つです。改定ガイドラインは、これらの要件をどのような事情から判断するかを詳しく示しています。
したがって、ガイドラインに書かれた一つの項目だけで自動的に許可・不許可が決まるわけではありません。一方で、申請者が説明しなければならない論点は増えています。書類を集める前に、自分の申請日と世帯状況を確定させることが重要です。
永住許可の3つの基本要件は、「あなたは永住権を申請できる?3つの条件と特例をチェック」で確認できます。
改定日と全面適用日は同じではありません。出入国在留管理庁の案内では、申請日によって次のように整理されています。
| 申請日 | 適用されるガイドライン |
|---|---|
| 2026年3月31日まで | 2026年2月24日改訂版を適用 |
| 2026年4月1日~2027年3月31日 | 旧版を基本とし、収入に関する第2の4(2)・第2の5(7)のみ2026年10月改定版を適用 |
| 2027年4月1日以降 | 2026年10月改定版を全面適用 |
特に注意が必要なのは、2026年4月1日以降に申請した方です。 2026年10月1日より前に提出していても、同日時点で審査中であれば、新しい収入の考え方が適用される場合があります。提出日だけで旧基準と決めつけないようにしてください。
2027年4月1日以降は、日本語能力、制度・ルールの理解、学齢期の子どもの就学、将来の年金見込額などを含む改定版全体が対象です。これから申請する方は、希望時期から逆算し、不足資料や説明すべき事情を先に整理する必要があります。
今回の改定で、申請者への影響が大きい項目をまとめると次のとおりです。詳しい判断は個別事情によりますが、準備の入口として確認してください。
| 審査項目 | 新たに明確になった考え方 |
|---|---|
| 収入 | 世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準へ継続して達しているか |
| 年金 | 加入状況と将来の受給見込額を確認し、不足時は金融資産による補填も考慮 |
| 日本語能力 | 原則としてB1相当以上の能力を考慮。ただし対象外となるケースあり |
| 制度・ルール | 日本の制度や生活上のルールを一定水準以上理解しているか |
| 子どもの就学 | 学齢期の子を養育する場合、小中学校への通学状況を考慮 |
| 在留状況 | 最長の在留期間、長期・累積出国の目安を具体化 |
これらは別々に確認されます。たとえば、収入が基準を満たしていても、年金・健康保険料の納期限後の支払いが問題になることがあります。また、日本語能力の対象外に該当しても、税金や在留状況の審査が省略されるわけではありません。
新ガイドラインでは、原則として申請時点の世帯年収が、世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準へ継続して達しているかを考慮するとしています。従来よく使われた「単身なら年収300万円」という一律の目安だけでは判断しにくくなりました。
審査上の世帯は、住居と家計を共にする人の集まりです。申請者と同一生計の配偶者に算入可能な収入があれば合算されますが、家族滞在など就労資格ではない在留資格で得た収入は、原則として世帯年収へ合算しない考え方が示されています。
さらに、申請者が扶養する海外在住の親族も世帯人数へ加算されます。世帯人数が5人以上の場合は、生活費等の増加分を年収水準へ加える考え方です。実際の基準額は一律の固定額としてガイドライン本文に示されていないため、家族構成と算入可能な収入を分けて確認しなければなりません。
実務上の注意点:課税証明書の合計だけを見ず、誰の収入か、その人の在留資格は何か、海外扶養親族を含め何人を支えているかを一覧にします。転職・育児休業・病気などで一時的に収入が下がった年は、事情と現在の回復状況を資料で説明します。
収入の個別判断は、「永住権に必要な年収は?収入審査のポイントと家族人数の影響」もあわせて確認してください。
改定ガイドラインでは、年金保険料を期限内に払ってきたかという履行状況に加え、将来受給できる年金の見込額も考慮するとしています。目安は、日本人世帯の平均収入を上回る年収水準で30年間働き、その間に厚生年金へ加入した場合の受給見込額です。
受給見込額がその水準に届かない場合でも、不足する生活資金を補える金融資産があれば補填要素として評価されます。補填資産の考え方は申請時の年齢で変わり、若い申請者ほど将来資産を形成できる期間が長いことが考慮されます。配偶者がいる場合は、原則として世帯単位で年金見込額と資産を確認します。
「未納がないこと」と「将来の年金額が十分であること」は別の審査項目です。 納付記録に問題がなくても加入期間が短い場合があり、反対に資産があっても納期限後の支払いが公的義務の履行上問題になる可能性があります。
納付状況の確認方法は、「年金の未納・支払い遅れは永住申請に影響する?申請前の確認方法」で詳しく解説しています。
ガイドライン全体が適用される2027年4月1日以降の申請では、日本語能力、制度・ルールの理解、学齢期の子どもの就学が新たな重要論点になります。いずれも、地域社会で長く生活できるかという国益要件の考慮要素です。
原則として、日本語教育の参照枠におけるB1相当以上の日本語能力が考慮されます。B1は、身近な話題について標準的な日本語の要点を理解し、日常生活上の多くの場面へ対応できる程度の水準です。
ただし、高度人材外国人とその家族、初等・中等教育を累計6年以上受けた方、一定条件を満たす日本生まれの永住者の子など、本人へB1相当を求める必要性・相当性がないケースは考慮対象外とされています。
B1相当は、ガイドライン上の「考慮要素」です。 すべての申請者へ同じ試験の合格を法律上の絶対要件として課す、と書かれているわけではありません。ただし、対象外に該当しない方は、試験結果や教育歴など客観資料を準備するのが安全です。具体的な確認方法・提出資料は、出入国在留管理庁が示す申請時点の案内に従います。
詳しくは作成予定の「永住申請に日本語能力は必要?新ガイドラインのB1相当と対象外になるケース」で整理します。
申請者が日本の制度・ルールを理解しているか、理解する意欲があるかも考慮されます。ガイドラインでは、出入国在留管理庁長官が指定する方法により、「生活・就労ガイドブック」の内容を中心に確認するとしています。
申請準備では、税金、社会保険、在留カードの届出、勤務先変更等の届出など、自分に関係する義務を実際に履行しているかも見直します。知識の確認と、これまでの行動記録は別の問題として整理する必要があります。
申請者が義務教育年齢の子どもを養育している場合、子どもが小学校または中学校へ通学しているかが考慮されます。申請者本人が学齢期である場合も同様です。外国人学校、海外のオンライン教育、不登校など通常と異なる事情がある場合は、単に「通学していない」とせず、教育状況と理由を資料で説明する必要があります。
詳しくは作成予定の「子どもが学校に通っていないと永住申請に影響する?新ガイドラインの就学確認」でケース別に解説します。
原則10年在留のルートでは、就労資格または居住資格で引き続き5年以上在留していることに加え、申請時点の在留資格で最長の在留期間を持つことが考慮されます。2027年3月31日までは在留期間3年を最長とみなす取扱いがありますが、同年4月1日以降は原則として5年の在留期間が必要です。
ただし、2027年3月31日時点で在留期間「3年」を有する方には、一定の条件を満たす初回申請に限り、経過措置があります。対象となるには、2027年4月1日から現在の「3年」の在留期限までに申請結果が出ることなどが条件となるため、在留カードの期限と申請時期を確認しておく必要があります。
経過措置の条件は、「2027年4月から永住申請はどう変わる?3年ビザで申請する方への影響」で確認できます。
海外滞在については、申請時点から過去10年以内に、合理的な理由なく1回の出国が半年以上、または通算の不在が2年6か月以上ある場合、原則として消極的に評価すると具体化されました。これは自動的な年数リセットを意味しませんが、出国理由と日本に生活の本拠があったことを説明する重要性が高まっています。
新ガイドラインへの対応では、証明書を機械的に集める前に、審査項目ごとに事実関係を整理します。実務上は、次の順で確認すると資料の取り直しや説明漏れを減らせます。
行政書士としての実務上のポイントは、「基準を満たす資料」と「基準から外れて見える事情の説明資料」を分けることです。たとえば転職直後なら新旧の雇用契約と給与見込み、海外出張が長いなら出張命令・日本の住居・給与支給記録など、審査官が確認したい事実に対応する資料をそろえます。
ガイドラインは裁量判断の考慮要素を示したものであり、資料を出せば必ず許可されるという制度ではありません。反対に、一つの項目が目安を下回るだけで必ず不許可になるとも限りません。個別事情を全体として説明できるかが重要です。
2026年4月1日以降に申請し、10月1日時点で審査中の案件には、新ガイドラインの収入部分が適用されます。3月31日以前の申請は旧版が適用されます。
一律の固定額は公表されていません。世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準が基準となり、算入できる収入と扶養人数を個別に確認します。
ガイドラインはB1相当以上を考慮要素としていますが、対象外となるケースがあります。証明方法は試験結果や教育歴などが考えられるため、申請時点の公式な提出案内を確認します。
別の論点です。納付状況に加え、加入歴から推計される受給見込額も確認されます。不足する場合は、年齢に応じた金融資産による補填が考慮されます。
直ちに不許可と決まるわけではありません。ガイドラインは小中学校への通学を考慮するとしているため、学校の内容、就学状況、通学先を選んだ理由などを個別に説明する必要があります。
2026年10月改定後は、収入だけを確認して申請可否を判断することが難しくなりました。世帯年収へ算入できる収入、将来の年金見込額、日本語能力の対象外、子どもの就学、3年の在留期間の経過措置などは、申請時期と家族状況によって結論が変わります。
行政書士へ依頼すると、適用される基準を整理したうえで、収集する資料と追加説明が必要な事情を切り分け、申請書類の作成から入管への提出まで一貫した支援を受けられます。2027年4月以降に申請したい方、2026年4月以降に申請して審査中の方、年収・年金・日本語能力に不安がある方は、無料相談で現在の状況、手続の進め方、依頼費用をご確認ください。
こちらのページを読んだ方には、下記のページもよく読まれています。ぜひご一読ください。